
2022年の開業以来、片町エリアの宿泊先として親しまれてきた「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」。
遊び心あふれるインテリアと、地域の魅力に触れられるおもてなし力抜群の体験が人気です。
そんなホテルに新しいアクティビティが加わったと聞き、体験してきました!

星野リゾートが手がけるOMOブランドは、「テンションあがる街ナカホテル」をテーマに、各地で心地よい滞在と心躍る体験を提供しています。
その中でも「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」のコンセプトは「あっぱれ!味のかたまち」。
北陸随一のグルメタウン・金沢片町を舞台に、“食”という意味での味はもちろん、“歴史や文化の趣”という意味での味まで楽しめるよう工夫されていて、訪れる人に価値ある体験を届けてくれます。

ホテルのエントランスに入ると、滞在を満喫するためのサービスとして、パブリックスペースにご近所マップが設置されています。
ホテルスタッフおすすめのお店や施設が紹介されていて、中には地元の人でもあまり知らないような“通なお店”も。
宿泊時はぜひチェックしてみてください。
ローカルリズムナイト「金沢KOGEIナイトサロン」の伝統工芸が散りばめられた空間
金沢といえば、水引や金箔といった伝統工芸が有名ですが、それらがどのようなお店から広まり、どんな価値や美しさが発展を後押ししてきたのかは、意外と知られていないかもしれません。
そこで今回は、2025年4月から始まった宿泊者限定のアクティビティ「金沢KOGEIナイトサロン」を体験。
金沢の伝統文化を学びながら、実際にふれることができる、貴重なひとときを過ごしました。

星野リゾートが手がけるOMOでは、寝るまでの時間を楽しむためのイベントとして「ローカルリズムナイト」を開催。
「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」では、19:00~22:00(最終提供 21:30)の時間帯に、伝統工芸に彩られた空間でゆったりと加賀棒茶などを楽しめる「金沢KOGEIナイトサロン」を開催しています。

会場となるOMOカフェ&バルの天井を、水引で表現した松竹梅の飾りが品よく彩ります。
これは、初めて造形的な水引の結びや立体的な折型の和紙を手掛けたことで知られる加賀水引の「津田水引折型」によるもの。
床にはその影が映り込み、空間全体が工芸品に包まれるようですてきです。

「津田水引折型」の店舗は、ホテルから徒歩圏内にあります。
1917年(大正6年)の創業以来、五代目まで受け継がれてきた老舗で、格式ある水引はもちろん、アートピースや水引アクセサリーといった新しい形にも挑戦。
時代に寄り添い進化を続けるブランドの商品を手に取ることができます。

OMOカフェ&バルの奥にあるのは、静かな迫力を放つ金箔のウォールアート。
こちらは昭和初期に石川県金沢市で創業した「箔座」が手がけました。

ユネスコ無形文化遺産として登録され、国宝や重要文化財の修復に使用されている伝統的な製法で作られる「縁付金箔」を製造する同社。
受注生産で作る推しカラーのバングルや、金箔と墨で表現した「雲間の月影」など、金箔が活きる付加価値の高い商品を通して、伝統技術と金箔の魅力を発信しています。
伝統工芸に包まれながら、1日を振り返る夜のひとときを体験

夜には、近所の老舗茶店で指南を受けたホテルスタッフが、目の前で金沢のお茶を淹れてくれます。
それを金沢ならではの茶菓子とともに味わう体験は、北陸の人にとってもちょっと特別なはずです。
茶器には「九谷焼」や「輪島塗」、「桐工芸」などが用いられ、お茶と菓子を引き立てる伝統工芸が集結。

お茶は2種類を飲み比べることで、焙煎時間や茶葉の部位によって変わる色・香り・味の違いを楽しめます。
提供内容は日ごとに替わり、茶菓子も季節に合わせてデザインや味わいが変化します。
五感で金沢の豊かな魅力を再発見してみてください。
こちらの体験は無料です。

さらに、12月からは自分でお茶を淹れ、新たな工芸品やお茶菓子に出会える体験も始まります。
今回は一足先に体験させていただきました。
まずはお茶選びから。
ホテルと同じ竪町商店街にある「野田屋茶店」のお茶と、石川県加賀市で品質にこだわった日本茶を製造・販売する「丸八製茶場」の、全5種類の中から選びます。
それぞれの特徴をうかがったうえで、飲んでみたい一杯を決定。
お湯を注ぎ、急須を何度か傾けて淹れる工程も、ホテルスタッフの丁寧なレクチャーを受けながら安心して行えました。

私が選んだのは、「野田屋茶店」の浅煎りと深煎りのうち、深煎りの「加賀棒茶 薫」。
香ばしさとほんのり甘みを感じられ、自分で淹れたことでさらに美味しく感じられました。
お茶菓子は「茶菓工房たろう」のあんこと、「古都美」のクッキー。
和菓子と洋菓子の両方とペアリングを楽しめる贅沢な組み合わせで、1日の終わりにほっとしながら、その日の思い出を振り返ることができます。

「野田屋茶店」は、ホテルから徒歩3分ほどの場所にあります。
お店の奥には工房があり、ここから世界に誇る日本の加賀棒茶が生み出されています。

併設のイートインスペースでは、加賀棒茶ソフトを使った特製パフェや加賀棒茶ラテなど、おやつどきにぴったりのメニューも楽しめます。
ホテルには「野田屋茶店」とコラボしたティーバッグなども用意されているので、気軽に楽しみたい方はホテルで。
急須で淹れる用に茶葉を買って帰りたい方は、ぜひ店舗に立ち寄ってみてください。

最後に、2023年12月から「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」の総支配人を務める比佐 雅宏さんにお話をうかがいました。
「金沢には、街並みがきれいだという印象を以前から持っていましたが、地域への理解が深まるにつれて少しずつ見え方も変わってきました。街並みやグルメはもちろん、魅力的な伝統工芸品の多さには驚かされています。食も魚だけでなく多彩で、その奥深さにハマっています。最近はお気に入りのお店もできましたよ」

この「金沢KOGEIナイトサロン」については「宿泊者の皆さんが夜に集まり、すてきな体験を通じて金沢の本質的な魅力に触れてほしいです」と話します。
「OMOブランドのコンセプトには“テンションあがる街ナカホテル”がありますが、その前に“地域と仕掛ける”という想いが込められています。今後も地域の方々のご協力をいただきながら、伝統工芸が末長く受け継がれていくよう、この活動を続けていきたいです」と、熱い想いを語ってくれました。

金沢の魅力を支える伝統工芸の数々に触れるひとときにうっとりするだけではなく、地元の人はどこか誇らしい気持ちが呼び起こされるでしょう。
ホテルスタッフもそれぞれに好きなものへの愛情や知識をたっぷり持っていますので、ぜひ交流を楽しんでみてくださいね。
OMO5金沢片町 by 星野リゾート
| 住所 | 石川県金沢市片町1-4-23 |
|---|---|
| TEL | 050-3134-8095(OMO予約センター) |
| チェックイン/アウト | 15:00/11:00 |
| 料金 | 1泊1室 16,000 円〜(税込、食事別) ※金沢市宿泊税がかかる場合あり |
| 駐車場 | 提携Pあり(有料) |
この記事のライター
岩井なな(いわいなな)
富山県黒部市出身のインタビュアー・フリーライター。ライフワークはおしゃれホテル滞在で、年間全国100施設以上を訪問。北陸と東京の2拠点生活をしながら、全国各地のグルメ&おしゃれな名店を発掘するフードライターとしても活動する。