毎月、石川県で活動する劇団や公演イベントをご紹介! 演劇の世界に足を踏み入れてみませんか?
演劇と学び ー子どものうちに触れるべき物語
「かなざわ演劇人協会」が、様々な業種・職種の方とコラボレーションして演劇の魅力を深掘りしていくこの企画。 今回、協力してくれたのは進学塾 寺子屋本楽寺さん。演劇と学習塾? はたしてどんな化学反応が起こるのやら!?
やってきたのはストーリーテラー・奈良井伸子さん
進学塾 寺子屋本楽寺にやってきたのは、奈良井伸子さん。「わらべうたとえんげきの広場 はちみつ」の主宰で、石川県を中心に主に子どもを対象とした朗読劇、音楽劇などを企画されています。
ストーリーテリング・言語造型・演劇教育・シュタイナー教育等を学び、現在は小学校の特別支援学級の教員をされている、教育のプロフェッショナル!
とっても楽しみです!
奈良井さんを迎え入れてくださったのは、進学塾 寺子屋本楽寺のごんぼっち先生。独自の学習方法で、日本各地から生徒が集まる人気学習塾の講師です。お寺の副住職でもいらっしゃいます。
ようこうそ私の塾へ!
ごんぼっち先生の教育方針は、過去問題をとにかくたくさん解くタイプの学習とはちょっと違います。
みてください、この壁一面の本!これには奈良井さんも大興奮!
本当にここは塾なの〜!?
子どもたちは自由に持ち出しOKです。あっちには映画のDVDもあって教材として使うこともあります。
絵本に小説に漫画、伝記やノンフィクション、数学書など…ジャンルも幅広いです。
子どもたちのあらゆる"興味"に対応できるように揃えています。
学び=経験すること
演劇と塾、別々の方法で教育に取り組むお二人。 子どもたちとどのように向き合っているのでしょう?
大人は「子どもたちのペースメーカー」であるべきだと思っています。子どもたちが"積極的に学ぶ"ためには、まずいろいろなことに出会って興味を持つことが必要で、私はそのキッカケを作ってあげる役割なんです。
とても共感できますね。私も、朗読や音楽劇で子どもたちに物語を伝えています。物語を通じて体験してどう感じたか、が感性を育てていくんです。
そう、感想をアウトプットするのが重要ですね。私の塾では、読んだ本について感想を言い合う時間があるんです。小学校低学年くらいからやっていると、自分のあらゆる感情を言葉にして伝えられるようになる。
たしかに今の子どもたちは、家族の期待やSNS上にいる憧れの人を見て「自分はこうあるべき」という考えに囚われてように感じます。自分の意見を考えて言うトレーニングは、自己を知り認める練習なんですよね。
そうですね。それに物語に触れていると、物事をメタ(客観的視点)で捉えることもできるようになります。そうすると、あらゆることを多角的にみる視野が身につきますよね。
演劇はまさにそうです。演者のいる世界とは別に、観客が第三者として存在している空間なんです。
あぁ本当だ! 物語にメタ的な視点で存在できる、本や映像にはない経験ですね。ぜひ私も体験してみたいな。
とはいえ現在の日本教育では、学力テストの点をとることも必要です。物語に触れることが、テストの点を上げることにつながるのでしょうか?
もちろん進学塾 寺子屋本楽寺は学習塾なので、点数を取るための勉強もします。でもテストの点数が伸びる子は、経験に関連させて覚え、知識を深められる子なんです。
知識をただ詰め込むだけではなくて、「本を読んだ」「その時こう感じた」と経験と関連づけて覚えるから身につくんですね。
そうです。例えばこの本棚には漫画も多くあるんですけど、史実に基づいた歴史漫画や、実際の科学に基づいた医療漫画なんかは、子どもたちにとって最高の学習教材。楽しく勉強できますからね。
歌の歌詞のように、人名や単語を覚えてしまうことってありますよね。
点数を取ることももちろん大事なのですが、子どもたちには点数を取る以上に大切な「学ぶことのおもしろさ」を伝えたいんですね。それに気づけた子どもは強いです。
学力よりもっと根本にある"より良く人生を生きるための力"に必要なことだと思います。たくさんの物語に触れて、感受性を高めていってほしいですね。
教育のプロが選ぶ!子どものうちに読むべき本
たくさん並ぶ本の前で、読書談義に花が咲くお二人。せっかくなので「子どものうちに読むべき本」を選んでもらいまいました!
まず奈良井さんの選ぶ一冊は…?
モモ
ミヒャエル・エンデ 作/大島かおり訳
「モモ」には、子どもの心の成長に必要なすべてが詰まっています。
時間の使い方や、人生に役立つ名言も多いです。
そして何より、「子どもが誰か大切な人を助けるために、強い意志を持って自分自身の力で運命を切り開いて生き延びていく」物語なのが重要!
子どもが成長していくテーマの作品だと、「ヘンゼルとグレーテル」「十五少年漂流記」「ズッコケ三人組」なんかもいいですよね。
そうです。自分でやるしかない状況で自分だったらどうするか、子どもが思わず想像してしまうテーマなのでしょうね。感受性を育むのにぴったりな内容です。
そして、次にごんぼっち先生が選んだのは…
不思議の国のアリス
ルイス・キャロル 作/河合祥一郎 訳
「子どもが自分の力で冒険する」お話であることに加え、この「不思議の国のアリス」は、読む人によって見方や考え方がまったく変わることの面白さがあります。
翻訳者によっても訳し方が変わるので、ぜひ色々な方が訳した「不思議の国のアリス」を読んでみてほしいですね。
現代の物語に比べて、昔に書かれた物語は詳しく説明されていないんですよね。だからたくさんの人がそこを「想像」して書いている。
そうですそうです。分かりやすくないものに触れる機会って実は現代において貴重で。昔話には「想像する・考える余白」があるんですよ。
演劇の脚本も同じで、あえてお客様の想像を掻き立てる余白を作るんです。セリフにはせず、演者の表情だけで表現したり。
なるほど、読書も演劇も構造は一緒なんでしょうね。子どもたちにとってより良い経験になりそうです。今度奈良井さんの公演にお邪魔させてください。
ええもちろん!ぜひいらしてください。
演劇と学習塾、方法は違えど考え方は同じ。子どもたちの心の成長を育むお二人のご活躍にますます目が離せませんね!
ご協力いただいた、進学塾 寺子屋本楽寺さんありがとうございました。
2024年2・3月チケット販売中の注目公演
2月23日~25日【劇団羅針盤】『芝居小屋羅針盤っ!ー白の陣ー』
「笑って泣ける全力疾走エンターテインメント」劇団羅針盤の定期公演。今回は2作品を交互に同時公演!?
公演日時 | 23日(金)17:00「白馬のオージ様」20:00「白玉は3つまで」 24日(土)14:00「白馬のオージ様」17:00「白玉は3つまで」20:00「白馬のオージ様」 25日(日)10:00「白玉は3つまで」 |
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会場 | 金沢市民芸術村 里山の家 |
チケット | 前売り1,000円、当日1,500円 |
2月24〜25日【タント演劇学校】『「ばれんたいん・すとーん」をさがせ!』
能美市根上町を拠点に活動する市民劇団「タント演劇学校」の定期公演。
公演日時 | 2月24日(土)19:00、25日(日)14:00 |
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会場 | 根上総合文化会館タント音楽ホール |
チケット | 未定 |
3月22〜23日【劇団nono】『人生が二度あれば』(振替公演)
苦手だった父が死んだ。遺品といっても大したものはなかった。一通の手紙以外は。それは、母ではない女の人からのラブレターだった。僕は、僕の知らない、父を探しはじめた…。野々市を中心に活動する「劇団nono」の定期公演!※2月10・11日に予定していた演目の振替公演
公演日時 | 3月22日(土)19:30 23日(金)10:30/13:00 |
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会場 | 野々市市文化会館フォルテ小ホール |
チケット | 一般1,000円、学生500円、未就学児 無料 |
3月9日【演劇ユニット浪漫好】『We are the stage』
音楽を楽しむ『響』と、音楽にストイックな『絃』。喧嘩ばかりの2 人だが、尊敬する先生『橋本奏』のもと、日々音楽の練習に励んでいた。しかし、ある日突然、3 人の運命が大きく動く事になる。
公演日時 | 3月9日(土)14:30 |
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会場 | にぎわいの里ののいちカミーノ1F |
入場料 | 無料 |
3月16〜17日【ジュニア・クラブ】『天幕の下でお話を』
ジュニア・クラブは、小中学生が中心となって朗読やお芝居を学ぶクラブ。毎年秋と春に発表公演を行っています。第13回目となる今回の公演は、お芝居「いつだって僕ら、星空の下で」 朗読「野ばら」他の二本立て。子どもたちの名演をご期待ください。
公演日時 | 3月16日(土)13:00/16:00 17日(日10:30/14:00 |
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会場 | 金沢市民芸術村 ドラマ工房 |
入場料 | 一般1,000円 高校生以下500円 |
3月30〜31日【くろねこ寄席】『よせなべ南東風〜演劇人によるチャリティー寄席〜』
演劇人によるチャリティー寄席。様々な土壌で活躍する金沢演劇人が集結します!木戸銭はドリンク代500円を引いて、赤十字義援金へ寄付させていただきます。
【出演】東千絵(両日)/岡崎裕亮(30日)/小石川武仁(30日)/久村秀夫(31日)/東川清文(31日)/かはづ亭みなみ(両日)
公演日時 | 3月30日(土)15:00 31日(日)15:00 |
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会場 | カフェくろねこ |
木戸銭 | 予約2,000円 当日2,500円 *各1ドリンク付 |
3月30〜31日【親子で楽しむおはなし会たんぽぽ】『名作絵本の 生演奏つき おはなし会-おしいれのぼうけん-』
ふるたたるひ・たばたせいいち著の名作絵本「おしいれのぼうけん」を、サックス・マリンバの生演奏付きで朗読する。
公演日時 | 3月31日(日)14:00 |
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会場 | 能美市立辰口図書館 2階ホール |
入場料 | 無料 |
3月2日【とものね会】『令和6 年能登半島 地震復興支援チャリティーコンサート』
ハープ奏者・上田智子さんによるチャリティーコンサート。第一部では、奈良井伸子さんによる語り、笛、琴、ヴァイオリン、ソプラノによる演奏。 第二部では、フルート、ピアノ、ヴァイオリン、ソプラノによる演奏が披露される。
公演日時 | 3月2日(土)第一部11:00/第二部13:30 |
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会場 | 料理旅館金沢茶屋 2階 楽の間 |
入場料 | 一般2,000円 高校生以下1,000円 |