最近にわかにささやかれている「今年は大雪説」。
なにやら"ラニーニャ現象"なるものが原因とのことですが…実際のとこ、どうなの!?
というわけで、「今年は本当に大雪になるの?」のギモンを解消するために気象庁で話を聞いてきました〜!
気象庁の職員さんにインタビュー!
取材時は見事な晴れ模様でした。こんな日が続くといいなあ…
ということで、「金沢地方気象台」にやってきました!
各都道府県に1ヵ所以上ずつ設置されている気象庁の地方支分部局のひとつで、天気予報や気象観測、火山観測などを行っている場所です!
今回お話をお伺いする小谷内さん。趣味はなんと発明で"バンデグラフ"(静電気発電機)などを自作しているそう!
今回は気象情報官の小谷内さんに特別インタビュー!
気象に関わること40年の大ベテランの方です。頼もしい!
今年の冬の天気の見通しについて、気になるギモンをぶつけてきましたよ〜!
「週末、金沢。」編集部です。今回はよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
ずばり今年の冬は大雪なんですか!?
まずは今年の雪の見通しについて教えてください!大雪になる覚悟はできています!
今年の雪についてですが…
ゴクリ…
ほぼ平年通りの見通しです!
えっ
ほぼ、平年通りの、見通しです
ほんとですか!?こんなに噂になってるのに!?
あくまでも見通しですが。現在の予想は以下の表の通りです
(気象庁より)
上の表は気温の図で、11月は暖かい日が多く、12月は寒い日が多く、1月は例年通りと予想していますね
下の表は降水量の図で、雪も降水量としてカウントしています。11月、12月、1月共にほぼ例年通りの見込みです
なんと!やった!大雪は降らないんだ!!
あくまでも見通しなのでそこはお忘れなく
とはいえ、現時点では異常な降り方にはならない見通しですので、あわてて特別な備えをしていただく必要はないかなと思います。
今後の見通しの変化についてはこまめにチェックしていただくことが大切です!
ラニーニャ現象ってなんだったんですか?
それならなんで「ラニーニャ現象」がこんな大雪説を引き起こすことになったんですか?
それは「ラニーニャ現象」が起きることで日本の冬の気温が低くなるからなんです
な、なるほど???
もう少しだけ詳しく説明しますね。
「ラニーニャ現象」とは、赤道付近で吹いている「貿易風」という東風の影響が強まることで、暖かい海水が南米から西側(アジア側)に溜まっていく現象のことを指します。
そうなると、インドネシア付近で積乱雲が例年よりも多く発生するようになります。
日本の南側に積乱雲がたくさんできると…
そうなると、偏西風の流れが蛇行する可能性が高くなります。
もともと、冬場の寒気は偏西風に乗ってシベリアから運ばれてくるのですが、偏西風が蛇行すると、よりダイレクトに日本に寒気が流れ込みやすくなるんです
偏西風にシベリアの寒気が流れ込みやすくなることで、日本の気温が下がるんですね!
その通りです
大雪ってどういう条件で起こるの?
北陸の雪がほぼ例年通りということは、結局「ラニーニャ現象」は発生しなかったということなんですか?
いえ、すでに発生してますよ
あれ…?では雪がたくさん降るのでは…?
気温というのはあくまでも雪が降るきっかけのひとつなんです。
雪というものは大きく分けて気温、海水温、風の3つの条件で降る量が変わってくるんですよ!
つまり「ラニーニャ現象」で気温は下がったものの、他のところでカバーできてるってことですか?
そのとおりです。では続いて海水温を見ていきましょうか
海水温は近年高い傾向にあり
実は海水温が厄介でして…近年は平年よりも高い傾向にあるんです
海水温が高いと雪になる確率が上がるんでしたね。一大事じゃないですか!
そうなんです。9月と10月のある日の海水温を、平年と比較したこちらの図を見てください。
平年よりが海水温が高いと赤くなっています。
(気象庁より)
今年も日本海が全体的に赤いのが分かりますか?
赤いことは赤いですが、1~2度高いくらいですよね?気温とかでもよくあることじゃ…
海水温の変化は気温の変化とは大きく異なります。
たった1~2度高い程度でも海の生態系が変化してしまったり、地球規模での海面上昇とも密接に関係していたりと大変な影響があるんですよ
えー!めちゃくちゃ大変じゃないですか!ところで海水温が高いと雪になるのはなぜですか?
雨雲の発生に影響するからです。海の水分が蒸気になって、雲になり雨を降らせるので、気温と海水温の差ができると雨雲が発生しやすくなるんですね
冬場の気温が低い時期に海水温が高いと、その温度差で雨雲ができて、そこから雪が降る可能性が高まるってことなんですね!
おおむねその認識で問題ないです
最大のポイント!風の動きに注目
今のところをまとめると、「ラニーニャ現象」で気温が低くて、海水温も高い傾向にあると
…あれ、大雪の条件を満たしていませんか??
ここまではそうなんですが、最も警戒するべきなのは気圧の配置、簡単に言うと風の動きなんです。
まずは下の図を見てください
この冬に日本の上空を西から東に向かって吹く「偏西風」は紫色の実線矢印で示し、そして、シベリア高気圧と呼ばれる寒さの源、いわゆる「寒気」の移動を水色の矢印で示しています。
これを見ると西日本から寒気が入り込むのがわかりますね?
なるほどなるほど…いやいや!風入ってくるじゃないですか!大雪ですよこれは!
ところが、東北から北海道付近を見ると、南からの暖かい空気が入り易い「偏西風」の流れが予想されています。
「偏西風」の流れは、「寒気」と「暖気」の強さのバランスにより波を打って流れるので、谷のところでは寒気が強くて入り易く、山になったところでは南から暖気が入り易い特徴があるのです。
ほうほう…
「偏西風」の流れにより、西日本から寒気が入って来るけど、東日本では暖かい空気が「寒気」を受け止めて、北へと押し上げてくれそうです。
つまり、西日本の方から季節風は入り易いけど、長続きしないということなんです。
シベリアから入り込んでくる冷たい風の勢いを、北日本の風が打ち消してくれるんですね!
とはいえ基本的には西高東低の冬型の気圧配置がベースなので、ある程度は風が吹き込むことが予想されます。なので…
「ほぼ平年並みではあるが、雪の日が多少多い可能性が高い」
…というのが現在の予想です
インタビュー中の小谷内さん。丁寧に教えていただき本当にありがとうございました。
改めてですが、今回お伝えしたのはあくまでも見通しです。定期的なチェックが重要なのでお忘れなく!
承知しました!本当にありがとうございました!
ありがとうございました。
おわりに
ということで、現在のところ「今年の雪はほぼ平年通りの見通し」ということがわかりました!
必要以上に今年の雪に備える必要は今のところなさそう。
ですが、天気予報や気象庁から発表される情報はマメにチェックして楽しい冬にしましょう!