現在、食料の多くを輸入に頼っている日本。 令和4年度の食料自給率は38%(※カロリーベース)と言われています。 このままだと、未来の日本の食はどうなっちゃうの?
今回は、金沢市に住む大学生が食料自給率への理解を深めるきっかけとして、オリジナル餃子のレシピづくりに挑戦!
レシピを真似して美味しい餃子を味わうとともに、日本の食の未来について一緒に考えましょう♡
※この記事は、消費者、生産者、食品関連事業者、日本の「食」を支えるあらゆる人々と行政が一体となって、考え、議論し、行動する国民運動「ニッポンフードシフト」とのコラボ企画です。
食料自給率がUPする餃子を作ろう!
何も知らずに呼び出された二人。運命やいかに!?
こちらが今回、食料自給率について一緒に考える中島さん(左)と吉田くん(右)。 北陸の大学に通う、フレッシュな現役大学生です!
そんな二人に課されたミッションは、「食料自給率をUPする餃子レシピを考えること」。
実家住まいで、あまり料理経験のない二人。果たしてミッションを完遂することはできるのでしょうか?
「食料自給率」というキーワードはもちろん知っているけど、あまり考えたことがないな…。
というかなぜ餃子⁉︎ 料理未経験者には難しすぎる!!
STEP1 餃子の可能性は無限大!
難解なミッションを前に、困惑する二人…。
しかし実は「餃子」は、様々な食材を使うことでアレンジがしやすく、新しいレシピを考えやすい神メニューなんです!
たしかに…。餃子のタネってお肉だけじゃなくて、野菜に魚介に、果物やチーズをいれてもいいし。意外と楽ちんかも。
サークルのみんなとやってる創作餃子パーティーみたいな感じで、気楽に考えてみようかな!
どんな食材が使われると食料自給率がUPするんだろう?
STEP2 食料自給率がUPする食材って?
ということで、どんな食材が使われると食料自給率がUPするのかイチから考えることに。
食料自給率って、いわゆる私たちが消費した食料に対して国産がどれくらいかを表す数字だよね。
つまり、全部の食材に国産を使用すれば自ずと100%になるってことか!
そうできたらいいけど、皮で使われている小麦なんかはそもそもほとんどが海外で作られているよね…。
たとえ国産の豚肉を使用していても、豚の餌が輸入品だと100%国産とは言えなくなるのか。意外と厳しい!
そして二人が考え出した、使うと食料自給率がUPする食材はこちら!
①と②は言わずもがな。地元・北陸で育まれた新鮮な食材は、間違いなく食料自給率UPに繋がるはず!
自給率の低い油脂類を使用した食材は控えます!
③はちょっと意外だったかも。
旬の食材は、気候に合っているから余分な手間やコストがかからないんだね。しかも栄養価が高くて美味しいし、積極的に使っていこうっと♪
使うべき食材の方向性が定まったことで、二人のやる気もUP!
常識にとらわれない、自由なアイデアがどんどん出てくるようになりました♪
北陸ではネギや竹の子、金時草が作られているんだね。地元なのに知らなかったな…。
この考え方も食料自給率UPに繋がるかも。取り入れてみようっと!
二人が作ったオリジナルレシピはこちら♡
というわけで、いよいよ完成したレシピを紹介!
中島さんは餃子の中身に、定番野菜の代わりに旬の加賀野菜をチョイス。
金時草や竹の子をふんだんに使ってヘルシーに仕上げました♡
餃子の皮は、国産米粉でできたものを使用しています。スーパーで見つけました!
なおかつ、能登塩や加賀棒茶パウダーなど味変調味料を提案。
飽きがこないようにすることで、残さず食べる=食料自給率UPを実現しました!
続いて、吉田くんのレシピをご紹介!
「餃子といえばビール」という常識を覆し、石川県産の魚とネギを使用した日本酒に合う餃子を発明!
こちらも餃子の皮は、国産米粉でできたものを使用しています。
中には、お肉の代わりに石川県の郷土料理であるメギスのつみれをIN。
ポン酢でちゅるっといただけば、さっぱりながらも旨味たっぷりの味わいで、お酒を飲む手が止まりません♪
STEP3 レシピ作りを振り返って
食料自給率UPを実現させるユニークなオリジナルレシピを提案してくれた二人。
初めてレシピ作りをした感想を聞いてみました!
今まで、食料自給率について考えたことがなかったから最初は難しかった…。でも、今回レシピ作りを経験したことで、身近に感じられるようになりました!
「自分が食べるものを選ぶことが、食の未来に繋がるんだ」ということを実感しました!今まで以上に、食べ残しや食材を腐らせたりしないように気をつけなきゃ。
石川県の特産物や加賀野菜など、地元の食材にも詳しくなれたよね。
地元の食材はやっぱり美味しいし、作り手の顔が見えて親近感が湧くよね。多少高くても、積極的に手にとっていきたいなって思えました♪
食料自給率について、プロフェッショナルに聞いてみた!
ここで、食料自給率についてのプロフェッショナル 農林水産省 北陸農政局 食料自給率担当の五十嵐さんに、いろいろ質問をぶつけてみました!
一般的な餃子の自給率ってどれくらいですか?
自給率計算機(※)で計算してみると、一般的な餃子は20%です。しかし、具材などを国産のものに変えることでこの値は高くなり、例えば皮を国産の小麦粉を使ったものにしたり、豚肉を同量の国産れんこんに変え、さらには油を使わず蒸し餃子にすると、自給率は98%になりますよ。
そもそも食料自給率ってなんですか?
食料自給率は、食料の国内消費に対する国内生産の割合を示したもの。国全体で見たときに、私たちが消費した食料に対して国産がどれくらいかを表す数字なんです。
日本の令和4年度の食料自給率は、カロリーベースで38%となっています。
※カロリーベース…食べ物に含まれるエネルギー量を基準に表したもの
日本の食料の現状ってどんなかんじなんですか?
日本では、高度経済成長期以降、食生活が大きく変わりました。具体的には、米や魚、野菜が中心の日本型食生活から、肉や油を使った料理が好まれるようになりました。食生活の変化に伴い、昭和40年度には73%だった食料自給率は低下し、令和4年度には38%になりました。
主食である米の1人・1年あたりの消費量は令和4年度には約51kgであり、昭和37年度の約118kgの半分以下になっています。自給率が高い米の消費が減ったことは、食料自給率全体の低下に繋がりました。
一方、畜産物や油脂類の消費量は増加しており、飼料や原料の多くを輸入に頼る自給率が低い畜産物や油脂類の消費が増えることは、食料自給率全体の低下に繋がります。
さらに世界に目を向けると、国際連合の推計では、2022年11月15日に人口が約80億人に達し、今後も開発途上国を中心に増加し、2050年には約97億人になると予想されています。さらに、経済成長によって肉類の消費が増え、その飼料としての穀物(とうもろこし等)の消費量も増加しています。
つまり、世界の人口が多くなると、今の輸入に頼った日本の食生活では危うくなってしまうんです。そう遠くない未来、今のように誰もが、いつでも、安く、食料が手に入る時代ではなくなるかもしれません…。
それは困ったな…。僕たちの子どもの世代には、そんな未来になっちゃうかもってこと?
私たちはどうしたらいいんですか?
日本としては、令和2年に策定した「食料・農業・農村基本計画」において、令和12年度にカロリーベースで45%という目標を掲げています。
食料自給率を上げるためには、ただ生産を増やせばよいということではなく、消費者の方々に積極的に国産の農林水産物を選んでいくことも大切です。
私たち一人ひとりが、スーパーに行った時、レストランに行った時、この農産物はどこから来たのだろうか、どういった人が作っているのだろうかと思いを巡らせることが、その第一歩になります。また、地元産のものをふんだんに使うと、地域色豊かなお料理が出来上がって楽しいと思います。
なるほど!まずは「日本の農家さんや生産者さんを知る」ことが大事なんですね。小さな一歩だけど、これならできそうかな。
農林水産省では、令和3年から「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」をスタートしました。
「ニッポンフードシフト」の公式サイトでは、動画コンテンツや「自給率計算機」などのツールで、よりわかりやすく楽しく「日本の食事情」について学べるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
どうもありがとうございました!
自分たちやその先の子どもたちの未来のために、まずは小さな一歩を踏み出すことが大切。二人のように、「日本の食」について学んでみませんか?