子どもたちが楽しそうにダンスする映像とともに流れる「♪ほや、ぞいね!石川サンバ!」の曲。
石川テレビのマスコットキャラクター「石川さん」のテーマソング、「石川サンバ」です。
石川県に住む人たちなら、多くの人が見たことがあるのではないでしょうか。
この「石川サンバ」を中心となって作詞・作曲したのが、今回お話を聞かせていただく「Gen」さんです!
さらに、Genさんにはもう一つの顔が。
なんと、ひばり保育園で園長を務められているんです!
バンドマンと保育園の園長って、両立できるんですね。すごい…
そんなGenさんの新しいアルバム「Singin’ and Smilin’」が6/20に発売!
アルバムの宣伝をダシに、いろいろお話聞いてきました。
バンドマンと保育園の園長、その二足のわらじを履くに至る半生に迫ります!
++++++
どうも、編集Nです。
先日、「週末、金沢。」編集部にある噂が流れました。
「ひばり保育園の園長が、ニューアルバムを出すらしい」
保育園の園長が…ニューアルバムを出す…?
「保育園の園長」と「ニューアルバム」、めちゃくちゃ遠い存在じゃない?
これはもしかして、愉快な話が聞けるんじゃないか…?
プルルルルル ガチャ
あ もしもし、「週末、金沢。」です
ぜひアルバムのご紹介をさせていただきたいんですけど…ヒヒヒ…
というわけで。
Genさん
official web site→http://gengaku.jp/
お話聞かせていただきました。
- 夢を探すために東京に飛び出した、18歳のあの日
- 「音楽」と「帰郷」に揺れる想いと、スウェーデンで訪れた転機
- 保育園で味わう挫折、そしてウクレレとの出会い
- 6月20日「Singin' and Smilin'」発売!魅力を聞いてきました
- おわりに
Genさん、今日はよろしくお願いします!
はい、よろしくお願いします。
フフフ、よかったんですか…ノコノコやってきて…
結構すぐ失礼な人ですね
僕、保育園に行って大声で言ったっていいんですよ
何をですか?
園長先生が!バンドマンだってことをね!
大声に関してはシンプルに迷惑ですけど、内容的にはかまいませんよ
えっ
なんせ隠してないですからね
うそでしょ…
バンドマンって火のついたギターを振り回して日本の国旗を燃やすような人たちじゃないんですか?
どの時代のバンドマンもそんな反政府的なキャンドルサービスは行ってません
確かに30年前はサイケなファッションでガンガンシャウトしてましたけど。
強そう
やだ…怖い…
今は子どもたちと一緒に過ごすようになって、楽しく園長やらせてもらってます
いやいや、待ってくださいよ
若い頃にこんな「目につくもの全てが敵」みたいだった人が子どもに受け入れられるわけないでしょ!!
なんで?いったん宇宙人にさらわれて性格が温厚になったんですか?
記憶の限りでは人体改造を受けた覚えはないですね…
せっかくなのでこの機会にちょっとGenさんの音楽活動を振り返らせてください!
アルバムの話を聞いてくれるんじゃなかったんですか?
夢を探すために東京に飛び出した、18歳のあの日
めちゃくちゃ自然豊かな場所で待ち合わせました
そもそも金沢でバンド活動はされてたんですか?
ギターを弾いたりはしてましたが、バンド活動なんて考えもしなかったですね。
東京に行ったのも特に目的なんかなくて、東京に行けばなにかあるかなって。18歳の頃、家出同然で上京しました。
なぜそんな無茶を…
僕が園長をしている保育園、実は実家なんです。
「なんとなく実家の保育園を継ぐ」みたいな、決まったレールに乗るのが嫌だったんですよね。
おっ、上京の中でもかなりエモい分類の上京ですね
上京後は「ツバキハウス」という新宿のディスコで働いてたんですけど、そこが色んなジャンルの音楽が集まってくる場所で。
さらに当時はバンドブーム。THE BLUE HEARTSをはじめとする当時のバンドシーンの第一線を間近で見ていて、痺れました。
これはもうバンドしかないなって。
なんて「80年代後半」を感じるエピソードなんだ…
そんなこんなで「GEN」ってバンドを組んだんですけど
「イカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)」で2代目のグランプリに選ばれて、結成2年でメジャーデビューしました。
え?成功が早くない?
「音楽」と「帰郷」に揺れる想いと、スウェーデンで訪れた転機
その後しばらくして、バンドは解散。僕はソロで音楽活動をしていました
この第二章感、やばいっすね
その頃には家族も僕の東京での音楽活動を応援してくれていて。
その一方で、保育園を継ぐ選択肢も残しておいてくれたんです。子どもと一緒に音楽をしても、いいんじゃないかって。
僕は家を飛び出した後ろめたさもあって、なかなか帰る気になれなかったんですけど
上京の理由が理由だけに、難しい心境ですね…
ということは、金沢に戻ったきっかけがあったんでしょうか
1999年、僕が32歳のときです。これが売れなかったら金沢に帰る、そんな気持ちで「ultra marine」というアルバムを作りました。
カーディガンズのプロデューサーでをしていたトーレ・ヨハンソンと一緒にアルバムを製作するために、3ヶ月間スウェーデンでレコーディングをしたんです。
エピソードがとうとう日本を大きく飛び出してしまった
地元に戻るに戻れず音楽活動を理由に東京にとどまっていた僕に、トーレが言ってくれたんです。
「ゲン、俺はこんな森の中のスタジオにいる。だけどここには世界中のアーティストが集まってくれて、音楽の仕事ができてる。音楽に、場所なんて関係ないんだよ」って
ト…トーレ・ヨハンソン先生…!
最後のアルバムの発売を待たず、僕は金沢に帰る決意をしました。
事務所にはもう帰郷の旨を伝えていたので、発売した「ultra marine」のプロモーションは本格的には行われませんでした。
そうか…そうですよね…
セールス的にはそこまでの数字を残せませんでしたが、トーレとの出会いも含めて、このアルバムは僕としても大いに満足いく出来になりました。
めっちゃいい話だ
保育園で味わう挫折、そしてウクレレとの出会い
地元を離れて15年ぶりに金沢に帰り、僕は実家の保育園で働くことになりました。
とはいえ子どもとロクに触れ合ったこともなく、どう接していいか全くわからなくて。
ましてや保育園は女社会。僕にできることといえば、毎日の掃除くらいでした。
金沢に舞台を移しての第3章、挫折からのスタート…
保育園を継ぐ決意をしたにもかかわらず、どうしていいかわからなくて…一年くらいくすぶっていました。そんな僕に、母が言ったんです。
「何やってんの、あんたミュージシャンでしょ?子どもと音楽やればいいじゃない」って
お母さんはいつだって子の人生を動かすものだよな〜〜〜!!!
その後、僕は子どもたちを集めてライブをすることにしました。ギター片手に自分の曲や、童謡も歌ったような気がします。
人生で一番緊張しました。足も震えて…そのせいか、この日のライブのことはよく覚えていないんです。
僕の緊張が伝わったんでしょうね。覚えているのは、つまらなそうに見えた子どもたちの表情でした。
歴戦のミュージシャンでも…なんてこった…
でも、ライブでのお客さんの反応なら、どうすればいいかなんとなくわかったんです。
ライブを通して感じたのは、「子どもたちとつながるなら、ギターじゃないのかもしれない」ってこと。
その後、ふと思いついて保育中にウクレレを持って子どもたちのところに行ったんです。
そこで「ポロロン…」とウクレレを爪弾いた瞬間…
ゴクリ…
子どもたちの表情が、その空間が…すごく、しっくりきたんです。
これだ…!と思いました。
俺たちはもうGenさんの人生に夢中だ…
そこからはあっという間でした。僕は「おうたをうたってくれる、まなぶおにいさん」として、子どもたちの輪に入れるようになったんです。
スッ…(立ち上がる)
いまでも七夕や子どもたちのお誕生会では、ウクレレでライブをしています。子どもたちからも好評なんですよ
パチパチパチパチ(拍手)
その出来事をきっかけに、金沢でも本格的に音楽活動を始められたんですか?
う〜ん、本格的か〜
もちろん音楽の仕事も大切なんですけど、まずは「保育園の園長」としての職務をやりきることを一番にしています。
だから自分から積極的に音楽活動をすることは、あまりなかったですね。
はい、ダウトダウト!!CMソングとかバンバン作ってるじゃないですか!
いやほんとに、人の縁でいただいたお話が多くて。
地元の友人から頼まれて作った曲が、また別の方の依頼につながって…その繰り返しですね。
食いさがったら素敵なエピソードが飛び出してきた
今回のアルバムは、そうやって人の縁で作った曲を一つの作品にしようと作ったものなんです。
とうとうアルバムの告知の時間がやってきましたね
6月20日「Singin' and Smilin'」発売!魅力を聞いてきました
今回のアルバム「Singin’ and Smilin’」は、どういうアルバムなんでしょうか。
金沢で出会ったウクレレと一緒に、僕がこれまで歩んできた音楽人生を詰め込んだアルバムです。
「石川サンバ」をはじめとして、金沢の人にはテレビで馴染みのある曲もたくさん入ってると思いますし、東京にいたころに書いていた曲「夕焼けのパレット」もレコーディングしました。
ウクレレの音色のイメージにぴったり合う曲たちを選びました!
今回は「Smiley’s session」と「Blue moon Quartet Session」の2枚組でのリリースということですが
「smiley’s session」は金沢で一緒に音楽をやってきた仲間と演奏した曲たちが入っています。だから曲によってメンバーも違って、それぞれの曲でしか鳴ってない音色も楽しめます!
今はメンバーを固定せずライブをやっていて、同じ曲でも毎回雰囲気が違うんです。そんなライブの雰囲気も、この「Smiley’s session」で感じてほしいですね。
なるほど!では、この「Blue moon Quartet Session」はまた違ったイメージなんでしょうか?
そうですね、「Blue moon Quartet Session」は「Smiley’s session」とは真逆で、メンバーを固定してレコーディングしました。名前の通り、「Blue moon Quartet」との共作です。
これまで僕がやってきた曲を彼らと一緒に演奏することでどう変わるか、僕も楽しみにしていたんです。結果的に、こっちもすごくいい一枚になりました!
ありがとうございます!では、この記事を読んでいただいている方にメッセージをお願いします。
タイトルである「Singin’ and Smilin’」は、「僕が歌って、みんなが笑顔で応えてくれる」という意味です。
ライブは僕からみなさんに届けるものじゃなく、僕が歌うことで、みんなが笑顔を返してくれる、そんな空間を互いに作り上げるものだと思っているんです。
みなさんにもこのアルバムを通して笑顔になっていただける一枚だと思います!ぜひ聴いてみてください!
ありがとうございました!
おわりに
これまでの経歴も含めて、めちゃくちゃちゃんとしていた…本当にすいませんでした…
アルバムも聴かせていただいたのですが、まっすぐであたたかい歌声が印象的でした。
僕は金沢に住んで3年くらいなのですが、CMで聴いたことある曲も本当にたくさんあってビックリ。
聴いていると自然と笑顔になるような、元気をもらえる一枚です。
しいのき迎賓館で毎年行われているイベント「ウクレレパイナ2018 in 金沢」が8月25日に開催!
Genさんのライブを生で観たい人は、こちらのイベントに参加するのがオススメです!
「Singin' and Smilin'」、ぜひ聴いてみてください!