奥能登の老舗酒蔵「松波酒造」がトレーラーハウスにて再始動!【NEW OPEN】

松波酒造のトレーラーハウス

9月14日、奥能登の老舗酒蔵「松波酒造」がトレーラーハウスの仮店舗にて営業再開!
能登半島地震で被災し休業を余儀なくされていた「松波酒造」でしたが、1年9カ月ぶりに慣れ親しんだ能登町松波の地で再び再出発を果たしました。
早くも復活を待ち望んだ全国各地のファンや地元住民の方々が駆けつけ、連日賑わいを見せています。

明治元年創業、能登杜氏による極寒仕込みの酒造りを続ける老舗酒蔵「松波酒造」。
代表銘柄「大江山」を筆頭に、長期熟成酒「双心」、自家農園産の無農薬天然柚子を使用した「ゆず酒」など多彩に揃い、県外や海外にも多くのファンを持つ人気の酒蔵です。

「松波酒造」は、能登半島地震で酒蔵と店舗が全壊するなど甚大な被害を受けました。
それでも昨年には、かねてよりお付き合いのあった小松市の酒蔵「加越」をはじめ、全国の酒蔵の協力のもと倒壊した蔵から救出した酒米を使用して共同醸造を開始。
代々受け継がれてきた伝統と絆を途切れさせまいと、酒造りを懸命に続けてこられました。

そんな「松波酒造」が、トレーラーハウスを活かした仮店舗での営業を再開。
トレーラーハウスを選んだのは、地盤改良が不要かつ短期間での営業再開が可能という点、さらに依頼した建築設計事務所「トイットデザイン」のデザイン性に惹かれたのが理由だったそう。

自然あふれる松波の景色に溶け込むようにデザインされた空間は、モダンで洗練されていながら、木のぬくもりを感じる雰囲気。
中央には、お客様と顔を合わせ、いい距離感でコミュニケーションを取れるようにとの想いから、長さ4mの大きなカウンターを設けました。

店内には、震災で生き残った「松波酒造株式会社」の看板が。
受け継がれてきた歴史と、新たな挑戦を表すモダンさが融合した空間に心地よさを感じます。

また、金沢町家に使われる格子、土間の質感をイメージした床など、あちらこちらに散りばめられたこだわりに、「お!」と目を引きます。

入り口には、同じく蔵から救出された酒袋の暖簾も。
力強く凛々しい大江山の文字が、スタイリッシュな燻銀色の外観と澄んだ青空によく映えますね。

販売するお酒のラインナップは、10種類ほど。
代表銘柄の「大江山」など、小松の酒蔵で共同醸造したお酒数種類に、倒壊した酒蔵からポンプやホースを使って取り出され、生き残った日本酒「長期熟成酒 双心」もあります。

店内では、商品の試飲も可能。
気になる銘柄を飲み比べて、お気に入りを見つけられるのが魅力です。

どれを買おうか迷ったら、女将の金七さんに相談するのもおすすめ!
「こんな集まりには、この銘柄がおすすめ」「この料理には、このお酒が合う」など親身にアドバイスをしてくれるので、新たな楽しみ方や発見ができるはずです。

建物が解体され更地ばかりが進み、人がいなくなる中で、変わり果てた故郷の風景を変えたいという強い想いがあった、「松波酒造」を営む女将の金七さん。
「待っていたよ」「おかえり」と営業再開を喜んでくれた地元の方々を見て、松波の地で再出発することの重要性を改めて実感されたそう。

今後は酒造りを守り続けていくのはもちろん、その一歩先を見据えて新たな分野にも挑戦を広げていきたいと話す、金七さん。
トレーラーハウスでは、ロゴ入りTシャツやステッカーのオリジナルグッズを新たに展開。
県内のさまざまなお店とコラボしたイベントなど、トレーラーハウスを拠点に松波のまち全体を盛り上げていけたらとのこと。
「能登には能登のスピードがあって、少しずつですが復旧をして元気を取り戻してきています。ぜひまた多くの人に足を運んでもらい、能登の自然や空気を満喫してほしいです」

震災を乗り越え、今年も酒造りに向けて動き始めた「松波酒造」。
酒造りを止めないよう、一歩ずつ歩み続ける蔵元たちの挑戦をこれからも応援したいですね。

その年や季節によっても味わいや香りが変わるのも、日本酒の楽しみの一つ。
ぜひ四季折々の能登の景色とともに、味わってみてください。

松波酒造トレーラーハウス

住所石川県鳳珠郡能登町松波30-114
営業時間14:00-18:00
定休日日〜水曜
駐車場あり
公式Instagram